経理業務において、「預金の帳簿付け」はどんな会社でも必ず通る道。
預金の流れは正確に、できるだけリアルタイムで把握しておきたいですよね。
実は、この預金の入力こそ、freee会計の本領を最も発揮できるといっても過言ではありません。
今回の記事では、freee会計での基本的な預金の入力方法と、よくあるケースをピックアップした「こんなときどうする?」の解決方法をご紹介します。
預金を入力するということは、当然ですが銀行口座があるはず。
というわけで、とにもかくにも、まずはfreee会計に口座を登録しましょう。
複数の口座がある場合、事業で利用する口座はもれなく全て登録しましょう。
個人事業主の方は、事業用の口座とプライベート用の口座をきっちり区別するのが望ましいです。
事業用口座のみの登録で済み、普段の経理業務がとても楽になります。
ちなみにfreee会計には、銀行口座の他にも「口座」と呼ぶものがいくつか存在します。
「インターネットバンキング」をご存知ですか?
知ってはいるけれど使ったことはない・・・という方もいらっしゃるかもしれません。
インターネットバンキングとは、パソコンやスマートフォンから、インターネット上で銀行の取引や残高照会を利用できるサービスのことです。
今や、多くの銀行がインターネットバンキングに対応しています。
また、実店舗がなく完全にインターネット上でのみ取引を行う「ネット銀行」も増えています。
以下のように、インターネットバンキングには経理上たくさんのメリットがあります。
インターネットバンキングと組み合わせることで、freee会計の威力は倍増します。
ご利用の銀行がインターネットバンキングに対応しているか、ぜひチェックしてみてください。
前項でお伝えしたように、freee会計を利用するのであれば、インターネットバンキングも合わせて利用するのがオススメです。
インターネットバンキングの会計入力は、freee会計へ銀行口座を同期して明細を取り込む方法が一番おすすめです。
もし同期に対応していない口座の場合は、入出金明細のCSVファイルを取得して明細アップロードする方法が便利です。
もちろん、手入力で取引を登録していくこともできます。
それでは、それぞれの入力方法を詳しく解説していきます。
freee会計へ銀行口座を同期させると、入出金の明細がリアルタイムでfreeeへ反映されます。
ホーム画面左側にある同期した銀行口座を見ると、オレンジ色の数字が表示されています。
これは「同期して取得した未処理の銀行明細の数=6件」という状態です。
オレンジ色の数字をクリックすると、「自動で経理」の登録画面が開きます。
ここで、いくつかポイントがあります!
「自動で経理」に並ぶ各明細の「詳細」を開いた画面の一部です。
登録の種類は3つあります。適切な方法で登録しましょう。
明細の詳細画面で取引登録を行う際は、取引内容を複数行に分けて登録することもできます。
例えば、下記のような場合です。
例1)家賃20,000円と振込手数料110円、合計20,110円を支払った
例2)支払報酬22,000円から源泉所得税2,042円差し引いた、19,958円を支払った
毎月内容が決まっている取引は、自動登録ルールで入力作業を自動化できます!
などなど・・・
取引内容をルール化するだけでなく、「取引を登録する」という処理ごとルール化してしまえば、同期データを取得した瞬間に会計入力は終わっています。夢のようですね!
では、自動登録ルールの作成手順を詳しく説明します。
先ほどの「自動で経理」の画面です。
この時点では、全ての明細へfreee独自の基準による推測で取引内容が入力されています。
1件目の明細の「詳細」を開きます。
適切な内容を入力します。この取引は借入金の元本返済なので、勘定科目は長期借入金でOKです。
ここで、登録ボタンを押す前に・・・
画面下部の「自動登録ルールとして設定」にチェックを入れましょう!
チェックを入れて登録すると、自動登録ルールを作成する画面に移ります。
適切な内容を入力し、「作成する」をクリックすると自動登録ルール作成完了です。
入力項目をそれぞれ確認していきましょう。
①取引内容
この取引は、取引内容となる銀行明細の文言が「シヨウガシ 〇ガツ」と決まっています。
「〇ガツ」の部分は毎月変わるので、「シヨウガシ」のみを「部分一致」とします。(この場合は「前方一致」でもOKです。)
明細の文言の一部が毎月微妙に変わる場合は、「完全一致」にしてしまうとせっかく作ったルールがうまく働かなくなってしまいます。ご注意ください。
②金額
今回の借入返済のように毎月元本75,000円と金額が決まっている場合は、下限・上限ともに75,000円とします。
③優先度
数字が大きいほど、自動登録ルールの中で優先的に適用されるようになります。(デフォルトでは0になっています。)
少し細かい話になりますが、今回の「シヨウガシ」という文言は、別の取引「シヨウガシリソク」にも含まれています。
例えば「シヨウガシリソク」の方にも同じ文言で自動登録ルールを作っていた場合、今回のルールの優先度を上げておくと、まずこちらのルールが適用され、「75,000円」などの条件に合わなかった取引には次の優先度のルールが適用されることになります。
④条件に一致したとき行う処理
以下から選択します。
取引の内容によっては、ポイント1でご紹介した、「口座振替」や「未決済取引の消込」もルールとして設定できます。
⑤取引先
こちらで設定した勘定科目やタグが自動で反映されます。
自動登録ルールが適用された取引は、自動で経理の画面で「自動登録ルールに合致」と表示されます。
以上のように、定型的な取引を網羅して自動登録ルールを作成しておくと「さて預金を入力しようかな?」とfreee会計で「自動で経理」画面を確認したとき、すでに大部分の処理が済んでいるはずです。
何もしなくてもfreee会計がどんどん片付けてくれるので、自動登録ルールを活用することはfreee会計を利用する上で最も大切なポイントになります!
自動登録ルールの作成のコツについて、以下記事にも詳しくまとめていますのでぜひご参照ください。
▼お役立ち情報:自動登録ルールを使いこなす者がfreeeを制す
銀行口座の同期ができない場合には、CSVファイル形式で用意した入出金明細をfreeeへ取り込むことで、同期した場合と同様に「自動で経理」から預金の入力ができます。
(銀行ごとに明細を照会できる期間に期限がありますので、ご注意ください!)
▼freeeヘルプセンター:freeeに手動でアップロードする明細を用意する
以下は、CSV明細の一例です。
ホーム画面左側にある銀行口座の「明細のアップロード」ボタンをクリックします。
[マスタ・口座]>[口座]から該当の口座を開き、「明細アップロード」をクリック、の手順でも可能です。
(手順1)
用意した銀行明細のCSVファイルをアップロードします。
「4. 入出金明細データのタイプ」は、初回は「新規のフォーマット」を選択します。
※2回目以降、「前回と同じフォーマット」を選択すると、以下の手順2・3を省略できます。
インターネットバンキングのサイトからダウンロードしたファイルの場合には、「○○銀行でダウンロードしたCSV」を選択してもアップロードできます。
(手順2)
銀行明細の日付、入金額・出金額、明細の並び順の形式を指定します。
(手順3)
銀行明細の列ごとに項目を指定して、「明細を取り込む」をクリックします。
必要な項目は①取引日、②利用内容・摘要、③出金額・決済額、④入金額・受取額、⑤残高 の5つです。
なお、項目を指定しない列に何か入力されていても取込に影響はありません。
先頭行の項目タイトルなども取込時に無視されるので、そのままでOKです。
[取引入力]→[自動で経理]を開きます。
明細として取り込まれた内容は、「自動で経理」の画面に未処理(まだ帳簿に反映されていない)の状態で並んでいます。
銀行口座を同期した場合と同じ状態です。
あとは同様に、自動登録ルールを設定しながら取引を登録していきます。
▼freeeヘルプセンター:銀行やカードの明細を手動で取り込む(明細アップロード)
ご利用の銀行口座が連携できない、CSV形式の銀行明細が用意できない、といった場合は、以下のような方法で手入力することも可能です。
freee会計の預金入力で遭遇しやすいケースをピックアップしてみました。
社内の銀行口座Aから銀行口座Bへ10万円移した、という場合を例とします。
この場合、取引登録の種類は「口座振替」となりますが、
銀行口座A・Bそれぞれの「自動で経理」から10万円の出金・入金どちらも取引登録してしまうと、
“振替元口座「銀行口座A」→振替先口座「銀行口座B」 10万円”の取引が重複して登録され、帳簿上では計20万円移したことになってしまいます。
これを避けるため、資金移動の登録では以下のいずれかの方法で処理を行います。
資金移動用にfreee会計上の口座(口座名「資金移動」など)を作り、間にはさむ方法です。
この「資金移動」口座は「銀行口座」ではなく、「資産(小口現金、仮払金など)」の口座として作成します。
出金側の処理:振替先口座を「資金移動」として登録します。
入金側の処理:振替元口座を「資金移動」として登録します。
入出金どちらも登録することで「資金移動」の残高は必ず0になります。
また残高をチェックすることで、一方だけ処理を忘れた!といったミスが防げるので、おすすめの方法です。
一方の明細は「口座振替」として登録し、もう一方の明細は登録せずに「無視」する方法です。
明細を無視すると帳簿には反映されません。
削除と異なり、「無視された明細」として明細一覧に残るので、後から内容確認や無視の取消もできます。
「口座振替マッチング機能」を利用することで、一方の明細の「口座振替」登録をする際に、もう一方の明細を同時に「無視」することも可能です。
誤って登録してしまった取引の修正は、freee会計への入力方法によって手順が異なります。
登録の種類:取引の登録
[取引入力]→[収入・支出形式(取引の一覧・登録)]を開き、一覧から該当の取引を開いて修正します。
科目や税区分の修正、合計金額内での内訳の修正、タグや備考の編集、口座振替への処理変更などが可能です。
ただし入出金日・取引内容・合計金額の修正はできません。
また、画面上部の「・・・」から「取引を削除」を選択すると、取引は削除され、明細は未処理として自動で経理の画面へ戻ります。
登録の種類:口座振替
[取引入力]→[収入・支出形式(取引の一覧・登録)]を開き、[口座振替(口座間移動)]を選択します。
一覧から該当の口座振替を開いて修正します。
振替元・振替先口座の修正、手数料・受取利息等の追加、備考の編集などが可能です。
なお、口座振替として処理したものを取引の登録へ変更することはできないため、取引の登録へ修正したい場合は一度口座振替を削除してから再登録する必要があります。
画面上部の「・・・」から「口座振替を削除」を選択すると、口座振替は削除され、明細は未処理として自動で経理の画面へ戻ります。
登録の種類:未決済取引の消込
消込先や消込金額を修正したい、という場合には、消込の登録を解除する必要があります。
[取引入力]→[収入・支出形式(取引の一覧・登録)]を開き、一覧から修正したい取引を選択します。
「決済(入金)」の項目にある「自動で経理へ」をクリックすると、以下画面が開きます。
「取引登録解除」→「登録解除」をクリックすると、消込の登録が解除され、明細は未処理として自動で経理の画面へ戻ります。取引の決済ステータスは未決済に戻ります。
なお、上記操作をせずに、取引自体の削除を行うと、未決済取引(発生分)が削除されてしまいます。ご注意ください。
[取引入力]→[収入・支出形式(取引の一覧・登録)]を開き、一覧から該当の取引を開いて修正します。
科目や税区分の修正、合計金額内での内訳の修正、タグや備考の編集などが可能です。
自動で経理から登録した場合と異なり、貸借の入替(支出⇔収入の変更)も行うことができます。
決済の登録方法が自動で経理からの消込でない場合には、決済口座・決済日・決済金額を修正することも可能です。
画面上部の「・・・」から「取引を削除」をクリックすると、帳簿上から取引が完全に削除され、復元できないのでご注意ください。
freee会計へ銀行口座を同期している場合は「タイムライン」という画面から以下2つの残高を確認できます。
この2つの残高に差異が生じていないか比較することで、銀行明細を過不足なく帳簿に登録できているかどうかが分かります。
[マスタ・口座]→[口座]から該当の口座を開き、「タイムライン」タブをクリックします。
また、画像のように、試算表の該当口座「実残高と比較する」からもタイムラインの表示が可能です。
以下がタイムラインの画面です。
8月末までの明細が全て帳簿へ反映されていることが分かります。
同期残高と登録残高にズレが生じている9月以降には、アラートが表示されています。
「〇月末」をクリックすると、細かく1日ずつ残高を確認することもできます。
原因1:本来は取引登録が必要な明細を無視している
修正:無視の取消を行い、再度正しい取引登録をしましょう。
[会計帳簿]→[明細の一覧]を開き、検索条件「口座:該当の口座」「明細無視状態:無視のみ」で絞り込んで、一覧から該当の明細を探します。
「無視の取消」をクリックすると、明細は未処理として自動で経理の画面へ戻ります。
原因2:口座振替の登録が重複している
修正:どちらか一方の取引を削除したのち明細を無視するか、資金移動の振替用口座を挟んだ処理へ修正しましょう。
原因3:取得できていない明細がある
銀行明細は、銀行ごとに照会できる期間に期限があるものがほとんどです。
長期間freeeへの銀行口座の同期が外れてしまうと、照会可能期限を過ぎてしまった明細の取得が漏れてしまう可能性があります。
問題なく同期できているかどうか定期的に確認しましょう。
また取得が漏れてしまった期間の明細は、手入力でfreeeへ登録する必要があります。
銀行口座を同期していない場合は、freee会計の現預金レポートと通帳を照合してチェックしましょう。
[分析・レポート]→[現預金レポート]から表示できます。
試算表や総勘定元帳と照合してもOKです。
預金の会計ソフトへの入力は、経理業務の中でもなかなかボリュームのあるものです。
が、ちょっと本腰を入れて自動登録ルールを整備してみると、驚くほど自動化が進むはずです。
freee会計とインターネットバンキングの同期&自動登録ルールで、さらなる業務の効率化を目指しましょう!